国鉄の分割・民営化30年、新生JRは北海道・四国以外は順風満帆、だが……

 国鉄の分割・民営化で新生JRが発足して去る1日で30年が経った。

 中曽根政権の遺産である国鉄の分割・民営化は、大成功と言えるだろう。

国鉄最終年度の経常損失1.4兆円、累損15.5兆円の断末魔

 1982年に中曽根政権が成立して、主要課題に据えたのが、当時、多額の累積債務を抱える国鉄の改革だった。

 分割・民営化前の国鉄は、悲惨そのものだった。東海道新幹線が開業した1964年から、国鉄は赤字に転落したが、その後は雪だるまのように赤字が膨らんでいき、分割・民営化前最終年度である86年度は運輸収入が3.2兆円なのに、経常損失はその4割近い1.4兆円にも達していた。繰越欠損額は、実に15.5兆円という途方もない巨額に膨らんでいたのだ。86年度の国の予算は、約54兆円だったから、実に国家予算の3割もの累積赤字を抱え込んでいたわけだ。

◎労組の違法ストとサボタージュの病魔に冒され

 国鉄経営陣はこれに対し、毎年、運賃を値上げしたが、競合私鉄との運賃差が広がったため、客離れを引き起こし、赤字は逆に拡大する一方だった。

 国鉄再生のためには、誰の目にも小手先の運賃値上げなどではなく、抜本対策が不可欠であることは明らかだった。

 しかしその「誰の目」の中に、国鉄を牛耳る労組である国労動労は入っていなかった。彼らは断末魔の国鉄にもかかわらず、違法スト(当時の国鉄公共企業体だったので、労組のストは法律で禁止されていた)と「順法闘争」という名のサボタージュを繰り返していた(写真=下の上は動労アジテーションを書き殴った機関車、下の上は1973年3月、「順法闘争」に怒った乗客に破壊された上尾駅)。

国労の衰退と動労の転向で道

 したがって中曽根政権の国鉄改革には、国労動労という2労組潰しが必須条件になっていた。

 むろん労組側は抵抗した。乗客を人質に取る違法ストとサボタージュを繰り返し、これがかつては労組側に同情的だった世論を、中曽根政権の分割・民営化やむなしに向けさせることになる。

 結果的に分割・民営化徹底阻止を貫いた国労は、大量の組合員の離脱を引き起こし、第1労組から少数組合に転落、一方で革マル派が主導する動労は、組織温存・国労切り崩しのために分割・民営化容認に転じた。

 ここに中曽根政権による国鉄改革、分割・民営化が成ったのである。

◎見事に蘇った民営化JR

 その分割・民営化30年で、かつての国鉄は見事に蘇った。

 7分割されて新生JRとなった7社のうち、本州の3社は、最低の西日本でさえ1165億円の経常利益で、ドル箱東海道新幹線を持つ東海にいたっては実に5100億円、アトレやルミネなどの優良物販会社を持つ東日本は3230億円である。

 この3社で1兆円近い経常利益を上げている。実に分割・民営化前の1.4兆円の経常損失と比べれば、2兆円以上のドラスチックな改善となった。

 さらに東海は、自前でリニア新幹線を建設中で、さらに巨額利益のかさ上げに余念が無いし、東日本は20年春の暫定開業を目指し、「品川新駅」新設と周辺の再開発で、巨額不動産収益確保を計画している(写真=新駅予定地)。

◎「3島会社」のうちJR九州だけは上場果たす

 しかしこの3社以外は、分割・民営化後に苦しい経営を強いられた。いわゆる「3島会社」と貨物である。

 ただJR九州だけは、九州新幹線の開業や豪華列車ななつ星(写真)の運行などの企業努力で鉄道事業の赤字を縮小させ、不動産・小売りで赤字を埋めて、昨年10月に上場を果たし、独り立ちを果たした。今年度の経常利益は、451億円の黒字見通しだ。

 唯一、全国展開を果たしているJR貨物も、人手不足時代の到来で荷物引き受けが好調で、今年度は2〜3億円の営業黒字を出せそうだ。

◎全く未来の見通しのない北海道と四国の2社

 しかし残り2社、JR北海道とJR四国は、今年も経常損失は免れず、特に北海道の赤字は大きい。

 今のところ、2社の独り立ちは全く見通せず、いずれは北海道は東日本が、四国は西日本が救済するしかなさそうだ。むろん東日本と西日本の2社にとって、北海道と四国が大荷物であるのは間違いないので、合併はもちろん子会社化でも激しい抵抗に遭うだろう。

 ただ、できなければ「清算」である。

◎頻繁な遅れは何か?

 JR東日本の利用者である僕には、最近気になることがある。かなりの高頻度で、「車両点検」とか「人の立ち入り」と称して、列車が止まったり遅れたりするのだ。この1週間のうち、2度も立ち続けに遅れに遭い、乗り継ぎのバスと電車を逃した。私鉄に比べて、有意に多い。

 国鉄時代は、サボタージュでメタメタに遅れることはあっても、頻繁ではなかった。

 これは、JR東日本の最大労組である東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)を握る革マル派系組合員のサボタージュではないか、と密かに疑っている。彼らは、些細なことで安全点検と称して列車を止め、当局側への圧力に使っているのではなかろうか。

 JR東日本が、発足時、革マル派の牛耳るJR東労組と協力関係を結んだことが、30年後の今も尾を引いているとすれば、相当に厄介である。

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