妄想物語

〜新ユニット〜

秘密の地下空間に到着してセーラー服に着替えた有賀

さんと辻野さんと一緒に二階の教室に入った。

放課後になってガランとしていたこの教室も、三々五

々集まったバンドのファンの女子達のお喋りとバン

メンバーの楽器を持たない身振りだけのイメージ練習

で静かなざわめきに満ちている。

バンドに新加入の有賀さん辻野さんを紹介しなければ

と、まずはリーダーでベース担当の鱒尾さんに話しか

ける。

「こちらボーカル担当の有賀さんとキーボード担当の

辻野さんです」

『『よろしくお願いします』』

おおっ、まずは順調なすべりだしだ。

6限目の体育授業を終えてそのままこの教室に赤いジ

ャージ姿で駆けつけた目の前にいるドラム担当のはや

ちゃんに紹介…

「はーい、はやちゃん!ジャージを思いっきりお腹の

上まで引っ張るのはやめましょうね。ボディラインが

男子生徒の目を錯乱させますからねえー」

『だってモモヒキが下がっちゃったんで引っ張り上げ

たんですもの』

「はーい、わかりました。今度からは、そういう時は、

モモヒキだけ引っ張り上げましょうねえ」

『はーい』

彼女はそう素直な返事をしながら、またジャージごと

モモヒキを引っ張り上げた。

じゃあ次は、ギター担当の外堀さん…

「あれっ!?どこ行っちゃった?」

『ここにいるっす』

「あっ、ごめん」

えーっと次は音桶さん…

『きゃははは』

「はーい、音桶さん、少女コミックは練習の後で読み

ましょね」

『はーい』

彼女は素直だ。

こうして、夢の国の双子のお姫様二人は現実世界に

デビューした。

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